街中で、電車内で、目があっただけでキレる人。
本当にいるんだ、と思った。今日はそんなお話。

私は地下鉄東西線で高田馬場に向かっていた。
ドアに向かって立っていて、右隣には
ガタイのいい女がいた。
ふと視線を感じて、見ると窓に映った彼女と
私の目があった。
その時は、当たり前だけど、なんとも思わない。
「あ、目があっちゃった」くらいのもの。
私はそのまま視線をずらして、
自分が作っている本と同じジャンルの雑誌の
中づり広告を読んでいた。
電車が早稲田駅に滑り込む。
早稲田で開くドアは反対側。
彼女は降りるらしく開くドアの方に向き直る。
私が降りる高田馬場駅の開くドアも
そちらの方なので
私もなんとなく彼女と同じ方向に向き直った。
その瞬間。
彼女が脇をかためて肘を私のほうに突き出した。
思いっきり肘鉄をくらったのだ。
入った。痛かった。一瞬、目の前が暗くなった。
次の瞬間には私も頭に血がのぼり、
その女の腕を掴み、
「なんなんですか!?」と叫んだ。
女は何も答えずドアの方に進んでいく。
私も腕を離さない。
すると彼女は前方を見つめたまま私の手を振り払い、
さらにドアの方に進んでいった。
彼女の後ろ姿を見ながら考えた。
仕返ししなくちゃ気が済まない。
…いろいろ考えていたつもりだったが、
その次の私の行動はやはり衝動的だったと思う。
厚底サンダルをはいた足で、
女のふくらはぎを思いっきり蹴飛ばしてやった。
女は振り返りもせずに降りていったが、
私は渾身の力をこめて蹴ったので
あざくらいはできていると思う。

まわりのおやじたちは見てみぬふりだった。
まあ世の中、そんなもんだろう。
仕返ししたことに関しては、危険だと言う人も
いるかもしれない。
でも。いわれなき暴力。
どうしようもなく腹がたった。

私はチカンに遭えば、そいつの着ているものを
口紅や油性ペンで汚して仕返しする女だ。
指を掴んで後ろ向きにそらしたり。
チカンおやじの胸ポケットに入っていた定期入れを
奪って開いたドアに向かって投げ捨てたことも
ある。
(鉄道警察に突き出してもいいんだけど、そんなアホ
のために自分の時間を割くのは馬鹿馬鹿しい)

チカンはとにかくとして
(だって最近、めっきり遭わないなもーん)
あの女には本当に腹が立った。
早稲田に着くまで、窓越しに目があった以外は
体が触れたことさえないのだ。
なんだったんだろう。

このことを話したら、うちの新人くんがこう言った。
「僕は電車の中では誰とも目をあわさないよう
にしています」。
(だからこいつ、私と電車の中で会っても挨拶
しないのか…)
でもそれも馬鹿らしいなあと思う。
それが今の世の中で身を守る方法なのだとしたら、
やっぱり今、社会の何かがおかしいのだと思う。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索